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パルジファル(コンサート形式)・・Berlin Philharmonie・・・・2018/4/6 [コンサート・リサイタル]

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Sir Simon Rattle Dirigent
Stuart Skelton Tenor (Parsifal)
Nina Stemme Sopran (Kundry)
Franz-Josef Selig Bassbariton (Gurnemanz)
Evgeny Nikitin Bassbariton (Klingsor)
Gerald Finley Bassbariton (Amfortas)
Reinhard Hagen Bass (Titurel)
Rundfunkchor Berlin
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 楽劇『パルジファル』というより交響曲『パルジファル』といった様相を呈した公演。主役は歌手も含めて全ての楽器で、それぞれの楽器の音が鮮明に緻密に聞こえてくる様はベルリンフィル以外ではありえないといった演奏でした。ただテンポが速く、あまりに緻密に全ての楽器が主張しすぎるといった感があって物語に入り込む余地がなく、一幕は困惑ぎみで終わってしまいました。しかし、ここは歌劇場ではなくベルリンフィルの本拠地フィルハーモニー、歌劇場で聴くのと同じような演奏でないのは当然なのかもしれません。そう割り切って聴くと2幕以降物語に入り込める部分もあったのですが、主張する楽器の音に物語からはじき飛ばされるような感覚になることがしばしば。最後までワーグナーの世界に深くは入り込むのは難しく、救済感も表面的に思えてしまいました。
 似たような違和感を感じた人が多かったのか?休憩をはさむ度に客席は空席が目立つようになり、3幕が始まる時には[猫]が座った列など半分以上が空席という状況になってしまいました。

 緻密な演奏の中、歌手の人達は端正に朗々と歌っていたという印象で、特に良いと思えたのがアンフォルタスとクリングゾル。演出によって歌い方は変わるものですが、アンフォルタスは大袈裟に伝えるよりも抑えた中に苦しみを伝える表現のほうが好みなので、今回のフィンリーはウィーンで聴いた時よりも良いと思えました。クリングゾルもクールに歌うほうが好みということもあり、更にはニキーチンの美声がクリングゾルに単なる悪役ではない悲劇性をもたらしていたのが好印象でした。
 タイトルロールのスケルトンのパルジファルを聴くのは2回目ですが、声も見た目も素朴な雰囲気でパルジファルには合ってます。一人オロオロと不安げにオケや観客席を見渡しながらの登場は冒頭から完全に役に入り込んで好演でした。
 他のソリストの人たちも盤石、コーラスも上質だったのですが、花の乙女達の声の相性が今一つの感がなきにしもあらず。

 ただ歌手云々というよりも前述のようにベルリンフィルという精鋭軍団の演奏の見事さに圧倒されたという印象が残る公演で、同時に、歌劇場で聴いたとしたら物語に没頭できないという状態にストレスを感じるように思えた公演でもありました。
 バーデンバーデンではなく、フィルハーモニーで聴くことを選んだのはラトルのワーグナーの評判がドイツ語圏で芳しくないというのが理由の一つでしたが、[猫]はドイツ人ではないので大丈夫かと思いきや、芳しくない理由が分かるような気がしたのでした。
 
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カヴァレリア・ルスティカーナ/道化師・・・Deutsche Oper Berlin・・2018/4/5 [オペラ]

Musikalische Leitung Stefano Ranzani
Inszenierung David Pountney
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Santuzza Ildiko Komlosi
Turiddu Gaston Rivero
Lucia Ronnita Miller(演技)Diane Pilcher(歌)
Alfio Dalibor Jenis
Lola Irene Roberts
Zwei Bauern Max Stieren Frank Wentzel
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Canio Vladimir Galouzine
Nedda Erika Grimaldi
Tonio Dalibor Jenis
Beppo Andrew Dickinson
Silvio Thomas Lehman

 この二演目は以前TV放送を録画して見始めたものの10分するかしないうちに、つまらん。。。と止めてしまって即消去。そんなことがあったので観たいと思う作品ではありません。ただこの日、リンデンは既に2回鑑賞した『魔笛』とあって、3回目というのもなんだかなーと二の足を踏んでしまったというわけ。その後リンデンで『魔笛』が新制作と発表され、観ておけば良かったと一瞬後悔しましたが、シンケル版も存続とあってホッとしました。

 当初サントゥッツァにはバルチェロナがキャスティングされていたのですが、この時期リンデンの『ファルスタッフ』も出演とあって降板する可能性もあると踏んでいたところが案の定。その他、ルチア役の人が調子が悪いということで演技のみ、舞台脇で代役の人が歌うという状態での上演。それでも歌手の人達には全く文句はありません。
 問題はやはり音楽そのもので、序盤からブンチャッチャブンチャッチャ・・・まずいよ~~脳内で昭和ノスタルジックモードが入っちゃうよ~~三輪トラックだよ~~~なんて思っていたら・・・舞台にソロソロと出現したのは三輪トラック。。。。完。。。。
 久々に座席から転げ落ちて両足着地失敗。後は席によじ登る気力もなく床でゴロゴロしとりました。ブンチャッチャ三昧を楽しむ能力がないということを棚上げしての逆切れ状態とはいえ、いい加減にしてほしいくらいのブンチャッチャ三昧にはブンチャッチャアレルギー発症。録画と違って即消去というわけにもいかず、ほとんど違うことを考えて過ごさざるをえず。
 [猫]がいつも異なる次元を走るペガサスと称しているフローレスがこの劇場に出演したとき、やはりペガサスはペガサスと思っていたら舞台に巨大なペガサスが出現したことがあったのを思い出しましたが、今回の三輪トラックしかり。これは一体どういうことか?[猫]に予知能力があるわけはなし、発想がパクられているわけもなし。似たような発想をする人がいると考えれば少々嬉しい気もするなどと、そんなどうでもよいことまで考えてしまう始末。休憩になったらケーロケロとカエルか?とも一瞬思いましたが、それでも次は異なる作曲家の別作品とうことでそのまま観ることに。

 『道化師』が始まると冒頭の舞台はなんと『カヴァレリア・ルスティカーナ』の最後の場面と全く同じ状態。これはボンネットバスも登場かと頭をよぎりましたが、やはり予知能力はありませんでした。 
 舞台は坦々とクールな雰囲気に変わっていき、そんな中ガルージンがさすがのパフォーマンス。この人は役によって雰囲気をガラリと変えてくれます。今回は冴えないしょぼいオッサン。一人焦燥感を募らせてていくのが実にリアルで上手い。ただ坦々とした舞台だったこともあって鑑賞する側としても坦々と、というより正直なところ冷めた感じで見ていました。
 ところが最後に待っていたのは想定外の結末![猫]は逆毛総立ちになる直前に瞬間冷凍。放射上に毛が逆立ったまま解凍に数秒間要しました。冴えないオッサンの正体は恐ろしいほどクールなオッサンでありました。何故坦々とした雰囲気だったのかも納得。ガルージンをはじめとして演出の意図にそって歌い演じきった歌手の人達の上手さに、良い意味で騙された感があったのがツボでした。

 思いがけずも最後の数分で手のひら返しの感想となりましたが、興味を持てない演目でも意外性のある演出によって救われた気がしました。
 


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パドモア、クック、ウィッグルスワース・BERLINER PHILHARMONIE・Kammermusiksaal・2018/4/4 [コンサート・リサイタル]

Mark Padmore Tenor
Ryan Wigglesworth Klavier
Allison Cook Mezzosopran
Mitglieder des Vocalconsort Berlin

SCHUMANN: Liederkreis Op.39
WIGGLESWORTH: Echo and Narcissus
JANACEK: The Diary of One who Disappeared

 ベルリンフィルハーモニー室内楽ホールでの初鑑賞。目的がパルジファル2公演だったとはいえ、バーデンバーデンでベルリンフィルのパルジファルを聴くという選択もあったのにもかかわらず、日にちが開いてもフィルハーモニーの公演を選んだのはこの公演が気になったのが理由の一つでした。

 特に印象に残ったのは後半のヤナーチェクの歌曲集『消えた男の日記』、ジプシーの娘に心奪われ、終には故郷を捨て去ってしまった若い農夫の物語です。
 室内楽ホールのウェットな音響がジプシー娘役のクックの歌声の妖艶な力を際立たせ、さらに観客席最上階後方で歌う女声コーラスが神秘的にホールに満ちるさまは恐れのような感覚を抱くほどで、青年の心を揺さぶるのに充分すぎるものでした。若い農夫役パドモアは純粋で素朴な印象で好演。暗く冷たい緊張感に満ちた作品は鑑賞していて息苦しさのような感覚をも伴うものでした。最後に故郷を捨てる決心をした後でも余韻として残るのは解放感より痛々しさ。それは人間の性と社会の掟の間で揺れ動いた青年の未来への不安と残された人々の悲しみを内包しているかのようで、この作品の地であるモラヴィアの農村の風土をも彷彿とさせる作品でした。

 
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リゴレット・・・Semperoper Dresden・・・2018/4/3 [オペラ]

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Musikalische Leitung Francesco Lanzillotta
Inszenierung Nikolaus Lehnhoff

Duca di Mantova Stephen Costello
Rigoletto George Petean
Gilda Tuuli Takala
Sparafucile Nicolai Karnolsky
Maddalena Tichina Vaughn
Giovanna Angela Liebold
Monterone Michael Eder
Marullo Jiří Rajniš
Borsa Matteo Khanyiso Gwenxane
Il Conte Ceprano Chao Deng
La Contessa Ceprano Birgit Fandrey
Paggio Grace Durham
Gerichtsdiener Matthias Beutlich
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 目的のパルジファル2公演が2日と6日なので中三日のうちこの日はドレスデンへ足を運びました。目的の公演ではなかったのでオマケという感があり、初演時が豪華キャストだったこともあってそれほど期待せずに臨みましたが、結構良い公演でした。
 なんといっても初演時はルィージ指揮、ルチッチ、ダムラウ、フローレスという豪華キャストで当時話題になり、幸い実際に鑑賞できて大満足だったプロダクションです。レーンホフの演出も華やかさがありながらクールにリゴレット親子の悲劇を浮かび上がらせた秀逸なものでした。そのレーンホフも残念ながら今は亡き人になってしまって寂しい気がします。今回パーティーの場面が初演時より華やかさが控え目に思えたのですが、再演とあってその他大勢の人数が減っていたかもしれません。その他、さまざまな面で初演時に比較してしまうとこじんまりとした印象は否めませんでしたが、チームワーク良くまとまった良い公演でした。

 タイトルロールはいつも堅実かつ端正に歌うペテアン。道化役には声に品格がありすぎるという感がなきにしもあらずとはいえ、舞台センスの良さを発揮して納得のリゴレットでした。この役は年齢を重ねるともっとよくなりそうな気もします。
 ジルダ役もマントヴァ役もそれぞれ役の雰囲気に合って好演。
 ランツィロッタ指揮の演奏は目立たないながらも堅実に歌手の好演を引き出してました。

 ところで今回初めて最上階に座ったのですが、下の優雅な雰囲気とはうって変わって質素そのもの。いわゆる天井桟敷なのでこんなものかと思いながらも、上まで階段を上るのも辛いと感じる年齢になったこともあって、やはり席は3階くらいまでにした方が良さそうと思ったのでした。


 

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パルジファル・・Staatsoper Unter den Linden・・・2018/4/2 [オペラ]

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MUSIKALISCHE LEITUNG Daniel Barenboim
INSZENIERUNG, BÜHNENBILD Dmitri Tcherniakov

AMFORTAS Lauri Vasar
GURNEMANZ René Pape
PARSIFAL Andreas Schager
KUNDRY Nina Stemme
KLINGSOR Falk Struckmann
TITUREL Reinhard Hagen
GRALSRITTER Jun-Sang Han Dominic Barberi
KNAPPEN Sónia Grané Natalia Skrycka Florian Hoffmann Linard Vrielink
BLUMENMÄDCHEN Elsa Dreisig Adriane Queiroz Anja Schlosser
Sónia Grané Narine Yeghiyan Natalia Skrycka
STIMME AUS DER HÖHE Natalia Skrycka
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 このチェルニアコフ演出の公演を初演時に鑑賞したのが2015年4月。そのときの感想はこちら

 今回最も印象に残ったのはシャーガーが歌、演技ともその時より上手くなったこと。初演時はどことなく一本調子ぎみで、チェルニアコフが家出少年という設定を考えたのもそれが理由と思ったほど。ところが今回は一本調子という印象はほとんどなし。体型も以前に比べてオヤジ体型になってしまったので少年らしさは希薄になった感はありました。しかし、演技が上手くなったので演出の意図は以前にもましてはっきりと伝わり、唯一謎だったシーン(3幕、母からの贈り物である置物と花の乙女たちのドレスを着た人形をクンドリがパルジファルに見せるシーン)も今回は解けてスッキリ。(どうスッキリしたかは解釈は人それぞれなので書くのは控えます。)
 一時期、初演時とは異なるエンディングにしていたと耳にしたことがあって、それでは演出の意図がぼやけてしまうのに、どうしてチェルくんは日和ってしまったのかと残念に思ってましたが、今回は初演時と同じく衝撃的なエンディングでした。このエンディングこそが肝であります。

 歌手陣は初演時と変わった人もいるので、読み替え演出により普通と異なる演技を要求される役柄をどう演じるかということも楽しみの一つでした。
 口は悪いけれど人の好い保育所のクリングゾルじいちゃんを初演時はトマソンが実に器用に演じていたのが印象に残ってます。今回はベテランのシュトルックマン。いつも押しが強く説得力のあるパフォーマンスをする堂々たる人という印象がありましたが、今回そのイメージを良い意味で覆してくれました。トマソンとは異なる演技で人の好さやクンドリに対する愛情を何気なく表現して実に上手く演じていたのはさすがでした。歌の方は言うまでもなく文句なし。
 初演時の役柄設定と最も異なる演じ方に思えたのがアンフォルタス。初演時のコッホは生ける屍といった状態で茫然自失の様相を呈してましたが、考えてみると生ける屍のように演じるというのはコッホくらい実績がないと難しそうです。ヴァサールは通常どおり苦しみに満ちた演技で好演してました。
 シュテンメは演技としては初演のカンペとそれほど変わらないのですが、表情や動きが少々硬く緩慢な印象で、その分おっとりとしたクンドリという雰囲気でした。歌はいつも端正に綺麗に歌う人なので、アンフォルタスを愛する一人の女性という設定はシュテンメには合っているように思えました。
 花の乙女達の一人に初演時のノヴィコヴァに代わって入ったのがアンサンブルのドライシヒ。二人ともオペラリアで1位になった経歴の持ち主です。ただ保育園の少女という設定にはノヴィコヴァの愛らしい声が合っていたという印象が残りました。

 演奏は歌手が演出にそった役柄に没頭して歌えるよう歌手にまかせてゆっくりとなる場合もありましたが、それ以外の部分は中庸からやや速めといった印象。今回の席は3階サイドで、2007年6月にアイヒンガー演出の『パルジファル』を鑑賞したときとほとんど同じ位置でした。それ以来歌劇にハマッたのでその時のことは記憶に残っているのですが、改装前と比べると改装による音響改善は歌と演奏のバランスという点で演奏の方に優位に働いているような気がしました。改装後に平土間前方で聴いたときは歌手にとっても歌いやすい劇場になったと感じましたが、事はそう単純ではなさそうです。以前の演出では歌手はほとんど前方でそれほど多く演技を要求されずに歌えたのに比べると、今は演出上舞台奥で歌うこともあったり、演技のため常に前を向いて歌えるわけでもありません。
 それでもここのオケの音はワーグナーを聴くには最高だということには何ら変わりなく、どっぷりとワーグナーの世界に浸れてワーグナー漬けになれるのはここしかありません。オケだけでなくパーペやシャーガーをはじめとした充実のアンサンブルメンバーもいるのでワーグナーはここでだけ聴けばよいとさえ思うのですが、来シーズンは2演目のみ。頻繁にワーグナーばかりやっているわけではないので、バイエルンやドレスデン、パリ、チューリッヒなども機会があれば行かないわけもなく・・・・・それにクレンツィス、ミンコフスキ、サロネン、バーデンバーデンでふられたヘンゲルブロックとかがワーグナーを振るなんていったら待ってましたとばかりホイホイ行ってしまうに違いないわけで、今までと同様あちこち出没するであろう[猫]であります。
 
 
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ヘリアーネの奇跡・・Deutsche Oper Berlin・・・2018/4/1 [オペラ]

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Musikalische LeitungMarc Albrecht
InszenierungChristof Loy

Heliane Sara Jakubiak
Der Herrscher, ihr Gemahl Josef Wagner
Der Fremde Brian Jagde
Die Botin Okka von der Damerau
Der Pförtner Derek Welton
Der blinde Schwertrichter Burkhard Ulrich
Der junge Mann Gideon Poppe

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 コルンゴルトの滅多に上演されることのない演目とあって、プログラム発表時から気になっていた公演です。
 現代音楽らしく不協和音が用いられているのですが、旋律が明確で美しい曲でした。音楽だけに言及すればもっと上演機会を増やしてほしいくらいです。ただ同時に上演機会が少ない理由の一端も窺えた気がしてます。

 コルンゴルトはテノールが好きなのか嫌いなのか?『死の都』同様、テノール歌いっぱなし。なんと死ぬまで歌わなくてはいけなくて、二幕途中でようやく死んで楽になったのに、最後に生き返ってまた歌わなくてはいけないという有様。歌えるテノールがどれほどいるのか?これが考えられる滅多に上演されることがない理由の一つですが、それだけなら『死の都』と同じです。他にも一般受けしないと思われたのが話の展開でした。あまりに非現実的で鑑賞していて物語に入り込めず、一歩引いて鑑賞していたという感が残りました。

 役の名がヘリアーネ以外は暴君、異国の男など名前がなく、特定の土地の名前も出てきません。そのため演出はさまざまに考えられそうでしたが、今回のロイは時代を現代に設定し、舞台を終始法廷のような広間で展開させたこと以外は読み替えがなく、そのままで分かりやすい演出でした。滅多に上演されない演目とあって配慮したかもしれません。

 タイトルロールの人がスタイルが良く、裸になるシーンでは本当に脱いでドキッとしてしまいました。薄手の裸の衣装を身にまとっていたようでしたが、本当に裸になっているようにしか見えず、美しいシルエットの裸体に思わずオペラグラスをかけて見る人もちらほら。歌もしっかりで適役でした。
 スタミナを要する歌いっぱなしのテノールはワーグナー歌手が担うことが多いようですが、今回は主にイタリアものを歌っている人です。誠実な印象の歌声で肝心のスタミナも充分。何ら不安なく歌いきっただけでも賞賛に値すると思えました。

 指揮はスカラの『影のない女』で観客を魅了したアルブレヒト。結構複雑なオーケストレーションに思えたのですが、演奏は聴くに忍耐を要したワーグナーのときとは別オケのようにまともでした。これはオケのレベルや音響の問題以上に指揮者の違いが大きな要因なのかもしれません。
 
 

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カリスト・・BAYERISCHE STAATSOPER・・・2018/3/31 [オペラ]

 4月の旅行の目的はベルリンでのパルジファル2公演。他にちょっとわけありで7泊7公演といつになく長めの旅行でした。
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Musikalische Leitung Christopher Moulds
Inszenierung David Alden

La Natura Dominique Visse
L'Eternità Karina Gauvin
Il Destino Anna Bonitatibus
Giove Luca Tittoto
Mercurio Georg Nigl
Calisto Christiane Karg
Endimione Tim Mead
Diana Anna Bonitatibus
Linfea Guy de Mey
Satirino Dominique Visse
Pane Martin Mitterrutzner
Silvano Alexander Milev
Giunone Karina Gauvin
Le Furie Anna Bonitatibus
Le Furie Dominique Visse
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 星座の大熊座にまつわる神話をもとにしたカヴァッリの作品です。このプロダクションの初演は2005年5月、何度も再演されているので人気の公演なのでしょう。少々Hな部分もあるのですが、茶目っ気ある面白い公演でした。
 登場人物が多いのは古楽にありがちですが、到着日とあって例のごとく、途中意識が飛んでしまってわけが分からなくなってしまったのは<(_ _)>無念であります。

 歌手陣は初演時からずっと出演しているヴィセをはじめ、ほとんどの人が再出演で息はピッタリ。
 タイトルロールのカルクは今回のシリーズからの出演ですが、最も印象に残ったのがカルクでした。小柄で細身にもかかわらず、声のなめらかで豊かなことといったらタイトルロールの重責を担うに充分。ベルリンフィルなどでも歌っているので気になっていた人ですが、納得のパフォーマンスでした。夏にまた聴く予定があるので楽しみです。


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トリスタンとイゾルデ・・Staatsoper Unter den Linden・・2018/3/11 [オペラ]

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MUSIKALISCHE LEITUNG Daniel Barenboim
INSZENIERUNG, BÜHNENBILD Dmitri Tcherniakov

TRISTAN Andreas Schager
KÖNIG MARKE Stephen Milling
ISOLDE Anja Kampe
KURWENAL Boaz Daniel
MELOT Stephan Rügamer
BRANGÄNE Ekaterina Gubanova
EIN STEUERMANN Adam Kutny
STIMME EINES JUNGEN SEEMANNS, EIN HIRT Linard Vrielink
TRISTANS MUTTER Kristin Becker
TRISTANS VATER Mike Hoffmann
ENGLISCHHORN Florian Hanspach-Torkildsen
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 前日にノイエンフェルスの演出を観たあとではチェルニアコフも普通の演出家と思えてしまったというのが正直なところ。同じチェルニアコフ演出の『パルジファル』がカルトという社会問題を浮き彫りにして衝撃的な結末だったので、今回はどんな問題に焦点を当てるのか期待してました。これが期待外れとまではいかないまでも少々肩透かしぎみ。焦点を当てたのはトリスタンの内面で、両親の思い出がトラウマになっているという設定のようでしたが、今一つ分かりにくく説得力に欠けていた感がありました。それでも前日同様、どんな演出であろうが鑑賞できた満足感は高かったのは言うまでもありません。

 チーム・バレンボイムの『トリスタンとイゾルデ』はマイヤーさまのベルリンでの最後のイゾルデに思いがけず立ち会えたのが2014年12月。溺れそうな『トリスタンとイゾルデ』はもう聴けないのかと一種の喪失感に襲われたものです。しかし、バレンボイム&SKBの溺れそうな『トリスタンとイゾルデ』は健在でした。それでも歌手と演出が変わったのですから全体の印象が変わらないわけはありません。

 クプファー演出マイヤー&ザイフェルトの印象が冷たい北の海を照らす青白い月だとすると、チェルニアコフ演出カンペ&シャーガーは空も海も真っ赤に染める夕日。つまり、熱い、ということ。三幕に夕日に照らされている場面があるからというわけではなく、そう感じた一つの要因はシャーガーの個性によるもののような気がしてます。なんといっても『ジークフリート』でのシャーガーの熱い歌いっぷりにはのぼせて温泉卵になったような感覚になってしまったことがあるのですが、今回は温泉卵とまではいかなかったものの、演出の演技付けも熱いと感じた大きな要因でした。

 シャーガーの良さは正にヘルデンという声質と疲れを知らないエネルギッシュな歌いっぷりですが、バレンボイム先生は才能を見出すとその長所を最大限に生かすという方針のようで、このところチェルニアコフと組むことが多いのも出演者の個性に合った演出にするタイプだからだと想像するのです。ただ今回はエネルギッシュすぎる演技付けだったのではないかというところ。特に一幕終盤の薬を飲んでお互いの愛を歌う場面と三幕のトリスタンの狂乱ぶりにはバタバタと激しすぎる感は否めませんでした。今後再演を重ねて落ち着いてくるのかもしれません。
 
 ハマリ役があると時として何を歌ってもその役が浮かんできてしまうということがあります。『トリスタンとエレクトラ』『トリスタンとオルトルート』『トリスタンとゼンタ』こう書いただけで誰が歌ったか想像できてしまうのでは? [猫]自身は実演で聴いたわけではないので、このようなことを書くのは単なる思い込み以外の何物でもないのですが、今回聴く前から想像してしまったのは言わずもがな『ジークフリートとイゾルデ』にならないかな?ということ。結果として『ジークフリートとイゾルデ』とまではいかなくとも『ジークタンとイゾルデ』?といった雰囲気が無きにしも非ずでした。

 イゾルデ役のカンペはどんな役でもどんな演出でもこなせる貴重な歌手です。時代を現代に設定したことで意思の強い現代女性いった印象のイゾルデで、最後の『愛の死』は感動的でした。
 
 ブランゲーネとクルヴェナルは現代に設定した演出では従者というより友人という雰囲気。以前からチーム・バレンボイムの一員で唯一今回も出演したグバノヴァも元ウィーンのアンサンブルのダニエルも演出に馴染んで好演してました。

 マルケ王は本来ならアンサンブルのパーペが歌うのでしょうが、劇場のオープンが遅れて予定がずれたのに全てのスケジュールを合わせるわけにもいかなかったのは想像に難くありません。ミリングは大柄な人で貫禄のある歌いっぷりは文句なしでした。

 もう一つ演出で気になったのは紗幕が終始かかっていたこと。平土間でみているかぎりは視覚的にほとんど問題はなかったのですが、歌手にとって良いことは何もないのではないかと疑問です。

 カーテンコールは賞賛に溢れてましたが、惜しむらくは最後の一音が終わったとたんの半泣きブラヴォー。。。。平土間に座る多くの人達があきれ顔あるいは苦笑いで声のあった方を恨めしそうに振り向いてました。

 
 
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サロメ・・・Staatsoper Unter den Linden・・・2018/3/10 [オペラ]

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MUSIKALISCHE LEITUNG Thomas Guggeis
INSZENIERUNG Hans Neuenfels

HERODES Gerhard Siegel
HERODIAS Marina Prudenskaya
SALOME Ausrine Stundyte
JOCHANAAN Thomas J. Mayer
NARRABOTH Nikolai Schukoff
OSCAR WILDE Christian Natter

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 元々メータが指揮を執る予定だったのが健康上の理由により降板。代わりはドホナーニと発表されて楽しみにしていたところが、演出が気に食わん!と降板。そう仰るのもごもっともでございます。ノイエンフェルスの演出は奇妙奇天烈、妙ちくりんで変てこりん、シュールでキッチュ等々、似たような意味の言葉を羅列したくなるものでした。
 結局、指揮を任されたのは若干24歳か25歳のグッガイス。誰それ?ではありますが、2016/17シーズンからバレンボイムのアシスタントを務めているとのこと。劇場係員に尋ねたところ、オペラの指揮を担当するのは初めてだそう。そう聞いて、うっそ~~~~と言いたくなるほど見事な演奏で、どれだけ演出が奇妙奇天烈であろうが妙ちくりんで変てこりんであろうが鑑賞できて満足感の高い公演でした。
 もっとも、[猫]は悪乗り学生のような発想を楽しむ能力は鍛えられているため、奇妙奇天烈妙ちくりん変てこりんな演出も面白く楽しめるのであります。

 キャスト表を見てのとおり、『サロメ』の原作者であるオスカー・ワイルドが黙役で登場するのですが、ノイエンフェルスの演出は狂気と恍惚の作品『サロメ』の原作者であるオスカー・ワイルドが霊のように舞台にいたとしたら、これくらいやっちゃうんじゃない?という発想。その発想自体を楽しむという趣向で、他に何か意図があったり、問題提起しているとは[猫]には思えませんでした。オスカー・ワイルドという黙役はノイエンフェルスの想像上の人物なので、中身はワイルドではなくノイエンフェルスというところ。こいつがとんでもなくチャラけた野郎で登場人物を煽ることといったら悪乗り学生の発想と思いきや、プロの技で上手くブラックコメディ風に仕上げていたので、品がないという部分が散見されてもそれほど嫌な印象は残りませんでした。セットや衣装はモノトーンでクールな印象、登場人物はアニメキャラ、それらがドライな仮想空間を創り、ある時は苦笑、ある時は・・へそで茶を沸かしちまうから勘弁して・・と笑い飛ばせる面白さになってました。とはいえ、もちろん声を出して笑うなどということはなく、素晴らしい音楽に観客は集中して鑑賞してました。

 チャラケているのは黙役のオスカー・ワイルドだけで、歌手はチャラケた野郎に煽られつつも極めて真面目に演出にそって歌い演じてました。(チャラけた野郎も演出にそって真面目に演じていたわけですが)
 チャラケ黙役以外、個人的に登場人物の中でこの演出のキーパーソンと思えたのがヘロデ。尊い神聖な人物と狂気の人々という登場人物の中で、ヘロデは先王を殺害した悪人とはいえ恐れを知る人物という点で唯一の凡人です。サロメの踊りの場面は踊りではなく、サロメがオチャラケ野郎に煽られながら狂気へと導かれる様子を見せつけられるのですが、その様子にオロオロと怯えるヘロデに同じ凡人として共感を覚えてしまったしだい。ジーゲルが実に上手くリアルに演じていてその後の歌も冷や汗タラタラの様子で「サ、サロメちゃん、尊いお方のく、くびなんて、そ、そんな、できるわけないでしょ。他のお宝だったら何でもあげるから、ど、どうかひとつ、あのお方の首などと恐ろしいことを言わないで」という雰囲気。サロメの狂気に負けて恐ろしさに逃げ出してしまう情けない凡人でしたが、最後戻ってきて「この女を殺せ」と叫んだとき、凡人が英雄と化した瞬間でした。殺人を命令してるのに英雄はなかろうというのが普通の感覚ですが、仮想空間のような演出では悪夢を終わらせた英断でありました。
 ここではたと気が付いたのはこの凡人の名前、HERODES・・・ヒーローです・・じゃん!!・・・無論、こんな浅はかなオチで納得したのは[猫]くらいであろうという自覚はあります。ハイ。
 ジーゲルは1月に観たゼンパーでのミーメ役でも好演してましたが、間違いなくドイツを代表するキャラクターテノールの一人であります。
 タイトルロールのシュトゥンディーテは目力のある人で、小悪魔的アニメキャラが似合って変わった演出にもかかわらず好演。
 アンサンブルのプルデンスカヤは相変わらず抜群の安定感で上質の歌いっぷり。役によってはぎこちなく見えた演技も今回のように高慢な役は自然体でハマリ役です。

 どれだけ演出が妙ちくりんであろうが、シュトラウスの深みのある豊穣な音楽に浸れた満足感は揺るぎなく、実際カーテンコールではノイエンフェルスが出てこなかったこともあって、賞賛しかありませんでした。
 中でも最も賞賛されたのがそのシュトラウスの音楽の美しさを余すことなく表現したグッガイス&オケ。オペラデビューだったグッガイスにとって幸運だったのはメータが降板してドホナーニに決まった時点で最後の一公演だけは任されていたため準備する時間は充分にあったこと、なんといってもホームである劇場で勝手知ったるオケとの仕事だったこと、それに師匠のバレンボイムが同時期にホームにいたことも心強かったに違いありません。指揮者の世界ではまだまだ若造と言われてしまう年齢で、今後さまざまな経験を積まなくてはいけないことと想像しますが、来シーズンから早くもシュトゥットガルト劇場のカペル・マイスターに就任するとのこと。ここリンデンで『ヘンゼルとグレーテル』『魔笛』の指揮を任される他、TAWでも『オベロン』を指揮する予定です。
 それにしても歌手にしろ指揮者にしろバレンボイム先生の才能を見出して育成する力には感服させられることしきり。自身の活動だけでなく、次世代の音楽界への貢献度も計り知れないものがあります。

 また、高品質の音楽があるからこそ、どんな表現の演出でも可能だということを改めて思ったのでした。

 ということで、以下蛇足。
 最近日本でも積極的に読み替え演出に取り組む姿勢が見受けられますが、高品質の音楽というのはなかなか一朝一夕ではいかないのではないか?歌手は呼べてもオケは長い歴史に裏打ちされた本場のオケのようにはいかないのではないか?という疑問はぬぐい切れません。ただ本場であっても常に高品質の音楽というわけではなく、どれだけ演出が良くても不満が残る公演があるのも事実です。好不評にかかわらず、さまざまな取り組みがあるのは良いことに違いありません。
 さらに疑問に思うのは、日本では全ての人が共通の認識で鑑賞することを好むのか?ということ。本場では解釈は鑑賞する側一人一人に委ねられ、さまざまな解釈が可能という余地があり、あえて謎を含ませている演出も見受けられます。個人的にもそういった演出の方が好ましく、演出家が解説することは無粋でしかないと思うのですが、どうも日本では演出家が解説する場合も散見され、鑑賞する側が受動的すぎる感があります。
 
 そんなわけで、やはり日本では公演に足を運ぶ気がしないので、これからもやりくりして遠征に励む[猫]であります。
 


 
 
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パサジェルカ・・・Oper Frankfurt・・・2018/3/9 [オペラ]

 3月の旅行は3泊3公演。どの公演もそれぞれ異なる趣で充実したもので、鑑賞旅行としてはハズレもオマケもなく理想的でした。。
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Musikalische Leitung  Leo Hussain
Regie  Anselm Weber

Lisa  Katharina Magiera
Walter  Peter Marsh
Marta  Jessica Strong
Tadeusz  Iain MacNeil
Katja  Elizabeth Reiter
Krystina  Maria Pantiukhova
Vlasta  Cecelia Hall
Hannah  Judita Nagyová
Yvette  Angela Vallone
Bronka  Joanna Krasuska-Motulewicz
Alte  Barbara Zechmeister
Erster SS-Mann  Dietrich Volle
Zweiter SS-Mann  Magnús Baldvinsson
Dritter SS-Mann  Hans-Jürgen Lazar
Steward  Michael McCown
Passagier  Thomas Faulkner
Oberaufseherin  Margit Neubauer
Kapo  Friederike Schreiber
Frankfurter Opern- und Museumsorchester
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 アウシュヴィッツを題材とした作品。『パサジェルカ』はポーランド語で女性旅客という意味で、原作は強制収容所に収容されていた経験があるゾフィア・ポスミシュです。作曲したヴァインベルクも家族がホロコーストの犠牲者であり、自身もソ連に亡命した後逮捕される等時代に翻弄させられた人生を送ったそうです。

 あらすじは、かつてアウシュヴィッツの看守を勤めていたリザが時を経て結婚、夫と船旅に出たところ、船客の中にかつて収容されていたマルタにそっくりな人物を発見したことから、回想と幻想が交錯していく物語です。劇場H/Pで多言語、ドイツ語と英語の字幕とあったのですが、ドイツ人夫妻はドイツ語、船員は英語、マルタとその恋人タデウシュはポーランド人なのでポーランド語、収容されている人達は欧州各地から来ていたのでロシア、フランス等々でした。
 舞台は回転することによって船の側面と内部が交互に現れるのですが、内部はアウシュヴィッツ収容所の回想シーンとなることがほとんどで、鑑賞していてなんとも重苦しく辛く、それだけ現実味を帯びた痛ましさがあり、伝える力のある作品でした。
 特にPAで番号が次々と呼ばれ、一人、また一人と後ろに連れ去られるシーンは、思わず耳に手を当てたくなるもので、無情で冷酷なアナウンスは『カルメル派修道女の会話』のギロチン音に等しいものでした。

 話の内容から緊張感に満ちた演劇性の強い作品という印象が残りましたが、心にしみる歌もあります。何よりホロコーストの悲劇から生きながらえたからこそ後世に伝えなくてはという思いが溢れる芸術作品でした。

 このプロダクションは2015年3月初演で今回は再演です。非常に完成度の高い公演でした。

 
 
 
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ドン・ジョヴァンニ・・Staatsoper Unter den Linden・・2018/1/21 [オペラ]

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MUSIKALISCHE LEITUNG Alessandro De Marchi
INSZENIERUNG Claus Guth

DON GIOVANNI Christopher Maltman
DONNA ANNA Maria Bengtsson
DON OTTAVIO Paolo Fanale
KOMTUR Jan Martiník
DONNA ELVIRA Dorothea Röschmann
LEPORELLO Mikhail Petrenko
MASETTO Grigory Shkarupa
ZERLINA Anna Prohaska

 以前から観たいと思っていたグート演出マルトマンの『ドン・ジョヴァンニ』
 2008年ザルツブルク初演なので10年近く続いている演出です。長く続いている演出の再演なのでチケットは余裕で取れるだろうと思って油断していたところ、気づくと少ししか残ってなくて焦ってしまいました。長く続いているのは人気が高いからであってチケットも早めにとっておくべきでした。

 森林の回転舞台。騎士長殺害場面、ドン・ジョヴァンニも騎士長のピストルで負傷するという設定。死を覚悟し、命果てるまで生き様を貫くドン・ジョヴァンニ演ずるマルトマンがやたら格好良く見えた演出でした。個人的には、もうこの演出はグートのドン・ジョヴァンニというよりマルトマンのドン・ジョヴァンニといった方がピンとくるくらいです。
 他の登場人物も個性の強い設定で楽しめました。
 ドンナ・アンナは悩みながらも明らかにドン・ジョヴァンニに惹かれていて、ベングッソンはその心情を弱音を駆使した歌唱で表現していたのですが、席が3階サイドでオケが強めに聞こえ、森林の奥で歌ったりすると埋没ぎみになってしまっていたのが少々残念ではありました。音響が良くなったせいか?オケを臨める席だと以前より演奏が強く聞えるような気もしました。
 そんなドンナ・アンナの気持ちを全く知らず、ひたすらドンナ・アンナを慕っている気の毒なオッターヴィオでしたが、ファナーレの歌うアリアは聴きごたえ十分。このところオッターヴィオは良い人ばかり聴いてます。
 レポレッロを歌ったペトレンコはトボケた雰囲気でしっかりブッファの担い手を好演。
 エルヴィーラがブッファの一端を担っていたのも面白く、富士真奈美のようなプンプンプリプリぶり。元アンサンブルのレシュマンは初演からこの役を歌っているので、すっかりこの役をものにしてました。それにしてもウィーンでイェヌーファを歌った時とは別人すぎて笑えました。
 ツェルリーナとマゼットはここのアンサンブルコンビ。ツェルリーナが普通でなく明らかにプッツンというキャラ設定。プロハスカはおじさんキラー的プッツンキャラを演ずるのが上手い。シュカルパがそんなプッツンキャラに翻弄されるマゼットを好演してましたが、この後、新国の『松風』に出演したとのこと、公演は評判が良かったようで何よりです。

 地獄落ちのシーンは実は騎士長は死んでいなかったとも取れるし、死ぬ間際のドン・ジョヴァンニの幻想とも取れるような気もしました。ウィーン版とあって最後の6重唱はありませんが、その方が自然な演出です。

 演奏は特に誇張することなく、モーツァルトは譜面通りで登場人物全員のキャラが立っていれば満足感が高いという公演でしたが、この演出は一風変わった設定ということが更なる面白味となってます。
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イェフタ・・・Palais Garnier・・2018/1/20 [オペラ]

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Conductor William Christie
Director Claus Guth

Jephtha Ian Bostridge
Storgé Marie-Nicole Lemieux
Iphis Katherine Watson
Hamor Tim Mead
Zebul Philippe Sly
Angel  Valer Sabadus

Orchestre et Choeur des Arts Florissants

 ヘンデルのオラトリオですが、旧約聖書にある元の話とはエンディングが異なり、ハッピーエンドにしているあたりは娯楽性を考慮したオペラに近い作品と言えそうです。
 聖書ではイェフタが戦争に勝利できれば帰還した後に最初に目にした者の命を捧げると神に誓ってしまったがために、勝利し帰還した後、最初に目にしたのが自身の娘であったことで苦しみながらも娘の命を捧げるという話ですが、この作品では古楽オペラにありがちな無理やり感で、殺される前に天使登場。一生処女で神に仕えるという条件で命が救われるという話になってます。
 最近の古楽の演出は不自然なハッピーエンドをハッピーエンドで終わらせないというのが主流で、この演出もしかり。そういった点では想定内の演出ではあったのですが、そのままハッピーエンドに終わった場合は今時なんだかなー・・・と言うに違いなく、この辺は想定内でも文句を言ってしまっては、ああ言えば上祐的文句でしかないので特に文句はありません。
 ただし、抽象的でシンプルすぎる演出で退屈という面がなきにしもあらず。『エリオガバロ』でも途中から睡魔と戦う羽目になってしまいましたが、古楽は音楽が心地よすぎるという面もあって、演出がシンプルすぎたり殺風景だとどうしてもボーっとして集中力を欠いてきてしまいます。また、登場人物は自然な動きばかりでなく、何かを象徴するように全員が動くときもあったのがどこか冷めた印象を残す演出でもありました。

 音楽的にはクリスティ&レザール・フロリアンの演奏、ソリストの歌、コーラス共に充分に満足でした。
 最も注目していたのは初めて聴くボストリッジ。スレンダーな姿はストイックで、美しい声もあって中性的な雰囲気もあり、独特なカリスマ性で魅了されました。
 古楽を聴くときに気になる様式感と劇的信憑性のバランスという点ですが、コンサート形式でしか聴いたことのなかったミードが絶妙のバランスで好演でした。
 娘役のワトソンも清純な印象でハマリ役。
 ルミューが、少々気持ちが入りすぎて様式感が微妙になっていた感がなきにしもあらず。ただ前述したように演出がシンプルで少々冷たい印象があったので、気持ちが入りすぎくらいで良い気もしました。
 サバドゥスは以前から天使のような声と思っていたのですが、今回はその天使の役。『エリオガバロ』のときと異なり、歌うのはソロだけだったので声量の物足りなさもそれほど気にはなりませんでした。ただやはりもう少し小さい劇場のほうがより良さを発揮できる人ではあります。

 演出に物足りなさを感じながらも音楽的には満足感の高い公演でした。

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連隊の娘・・・WIENER STAATSOPER・・2018/1/19 [オペラ]

 2月20日に久しぶりにアップしたときには12公演溜まっている状況だったのが、それを全て書き終える前にまた3公演観に行ってしまったので今の段階で6公演残ってます。なんだかそれも書き終わらないうちにまた観に行くことになりそうですが、地味にポツポツと1月の旅行の続きを書くことにします。

 ドレスデンに来たのは良いのですが、次の日ウィーンまで行くのは結構難儀でした。カマレナ降板とあってよほどウィーンはパスしようかと考えたりしたのですが、他に用事もあったので行かないわけにもいかず。電車が楽と思いながらも乗継時間を含めると所用時間が少ないのはバスだったのでバスで移動。ただ前日が嵐のような強風だったのでダイヤが乱れるかもと心配していたところ、案の定出発は20分遅れ、しかし到着は20分早くて問題ありませんでした。冬場とあってオリジナルスケジュールを長く取ってあったようです。
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DIRIGENT Evelino Pidò
REGIE UND KOSTÜME Laurent Pelly

Marie, junge Marketenderin Sabine Devieilhe
Tonio, junger Bauer John Tessier
Sulpice, Sergeant Carlos Álvarez
Duchesse de Crakentorp Marjana Lipovšek
Marquise de Berkenfield Donna Ellen
Hortensius Marcus Pelz
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 ペリーの演出はダムラウ&フローレス、デュセ&フローレスで聴いたことがあるので3回目。観たことのある演出でカマレナが早々に降板してしまったので席は安席でバルコンサイド。

 代役の人は以前ここで同役を歌ったことがあるということで、さすがに高音はきれいに決めてましたが、声質が優しく柔らかなレッジェーロなので力強い痛快感が希薄だったのは致し方なし。大柄でなかなか格好よく、半ズボン姿が似合うような?似合わないような?それが妙に微笑ましく好印象ではありました。
 マリー役ドゥヴィエルは細くて小柄で舞台に出てきたときはデュセが出てきたかと思ってしまいましたが、若々しく可愛らしい声はハマリ役で素敵でした。
 
 悪い印象は皆無で良い公演ではありましたが、同じ演出で3回目となれば新鮮さもなく、カマレナの派手な高音がお目当てだったということもあり、鑑賞しながらもどこか虚しく、なんだかなー('_')。。。でありました。

 また来シーズン聴く機会があるかチェックしなくてはいけません。できたら他の演出がよいのですが・・・はてさて?

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ジークフリート・・・Semperoper Dresden・・・2018/1/18 [オペラ]

 プラハから移動して昼過ぎにはドレスデンに入ったのですが、午後から徐々に風が強くなり、劇場に向かう頃には突風が吹くような天候で、コケてなるものかとピンヒールを履いて石畳を歩くのも容易でない状況になってしまいました。
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Musikalische Leitung Christian Thielemann
Inszenierung Willy Decker

Siegfried Andreas Schager
Mime Gerhard Siegel
Der Wanderer Vitalij Kowaljow
Alberich Albert Dohmen
Fafner Georg Zeppenfeld
Erda Christa Mayer
Brünnhilde Petra Lang
Waldvogel Tuuli Takala
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 席はあまり選べる状態ではなかったので平土間後方。ロイヤルボックスの下だったのでほぼ中央やや下手より。これがオケのバランスが悪くてワーグナーの世界に没頭しがたいNG席。ホルンとチューバだけが下手側の壁に大きく反響して他の楽器と違うレベルで鳴ってしまうという現象が起こってました。オケピを覗くと案の定、一番下手、壁を背にしてホルンとチューバが配置されているという状態。素人の浅知恵ながら、こういったことはオケの配置を変えれば避けることができると思うのですが・・・・。以前ここで『ローエングリン』を聴いたとき、平土間前方下手側で管が近いので強いと感じたわけですが、今回の席は反響によってレベルの違うバランスの悪さになってしまって、これだったら管が近くても前方の席のほうがましというほど。この劇場で既に何回も公演を行っているはずなのに常にこのようなオケの配置で行っているのか?疑問が残りました。この現象が起こることに気づいていないというのも考えにくく、平土間後方席は無視しても他の席にバランス良く届くようにしたという意図だとしたら、平土間後方席虫扱い。こんな名前ばかり長くて面白くもなんともない虫扱いはいかがなものか?席を販売している以上、誰かが平土間後方席虫扱いされることには、冗談ではなく、無視し難いものがありました。
 
 席については別件で他にも少々難あり。同じ並びの数席むこうの若造が途中で思いっきり爆睡。鼾とまではいかないもののスースーと気持ちよく寝息をたてていたのには前列の人が気になって何度も振り向くほど。隣席だったらピンヒールで足を踏んででも起こしてやるのにと心の中では思いましたが、いくらなんでもそこまで狂暴にはなりません。小突いて起こすところでしたが、数席向こうでは如何ともしがたしでありました。

 歌手陣については盤石で、ブリュンヒルデがブリュンルートかオルトヒルデだったのは想定内なので問題なし。
 ただシャーガーに少々ぎこちなさがなきにしもあらず。元々オリジナルでしたが、一度キャストから落ちていたのが再度復活したという状況で、演技を見ているとあまりリハに参加できなかったのではないかという様子。最もそれが顕著だったのが角笛を吹く場面。シャーガーは笛を口にしてないのに鳴ってしまって、慌てて笛を口に持っていくという有様。ここまでボケツッコミ的笑いどころにする必要があるのか?これにはちょいと意地悪された感もなきにしもあらずでした。もちろん天然ジークフリートたる歌声は健在でしたが、カーテンコールでも賞賛に溢れてはいても足踏みの多さではミーメとさすらい人の方が多いくらいだったのは、同様にぎこちなさを感じた人が少なからずいたのではないかと思います。

 演奏はいつものティーレマンらしく音を抑えたり、パウゼを取ったりと相変わらずではありましたが、これも想定内。オケのバランスが悪い席で聴いても賞賛が多い理由は分からないわけではありません。楽劇の醍醐味とでも言える言葉を大切にしたパフォーマンスは、歌手は大袈裟な演技などしなくても緊張感に満ち、ドイツ語圏の人達にとってはオケのバランスの悪さがあったとしても気にならないのかもしれません。

 演出についてはリングを通して観ないと理解しがたく思いましたが、椅子に何か意味がありそうでした。

 なんだかんだ書きましたが、前年某所で聴いたリングを思い起こせば、もちろんこちらの方が遥かに高品質ではありました。


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劇場的都合不都合・・ Stavovské divadlo・・2018/1/17 [オペラ]

 1月の遠征の目的はウィーンの『連隊の娘』とパリの『イェフタ』
 ウィーンはカマレナ&ドゥヴィエルが楽しみだったのにカマレナが早々に降板。目的が『イェフタ』だけでは少々寂しい。それに10月12月とワーグナーなしだったのでそろそろ聴きたい。などと考えていたら、幸い売り切れだったゼンパーの『ジークフリート』のチケットが出てきたので、当初の予定より早く出発することにしてプラハにまず入りました。

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Dirigent Enrico Dovico
Režie: Radim Vizváry

Daria Jana Sibera
Procolo Jiří Hájek
Biscroma Strappaviscere Igor Loškár
Agata Marek Gurbaľ
Luigia Michaela Zajmi
Guglielmo Josef Moravec
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 この日は到着日。プラハには複数の歌劇場がありますが、スタヴォフスケー(エステート)は行ったことがなかったので公演があったのは幸運でした。
 以前チューリッヒで観たことのあるドニゼッティの喜劇です。とにかくバカバカしいことで笑わせようという趣向で、レパートリー公演とあってチームワーク良く面白い事満載。遠目で見ていると、中岡創一みたいな人がいたのが個人的に更なる笑いどころでした。
 それでも到着日とあって例のごとく、というよりいつにもまして(-_-)zzzだったのは機内で全然眠れなかったので<(_ _)>

 エステートはドン・ジョヴァンニが初演された劇場とあって内部に資料が掲示されてます。ちょうど機内で映画『プラハのモーツァルト』を観たので感慨深く、どうせだったら公演もモーツァルトが観たかったと思わないでもなかったのですが、最近ますます到着日は(-_-)zzzの時間が長くなってきたので訪問できただけで満足としておきます。
 ただプラハの他の劇場でも感じたことがあったのですが、時々PA使用感があるのが少々気になったところです。
 
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カルメル派修道女の対話・・・La Monnaie・・・2017/12/8 [オペラ]

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Conductor ALAIN ALTINOGLU
Director OLIVIER PY

Le Marquis de la Force NICOLAS CAVALLIER
Blanche de la Force PATRICIA PETIBON
Le Chevalier de la Force STANISLAS DE BARBEYRAC
L’Aumônier du Carmel GUY DE MEY
Le Geôlier, Thierry, M. Javelinot NABIL SULIMAN
Madame de Croissy SYLVIE BRUNET-GRUPPOSOSOPHIE PONDJICLIS
Madame Lidoine VÉRONIQUE GENS
Mère Marie de l’Incarnation SOPHIE KOCH
Sœur Constance de Saint Denis SANDRINE PIAU
Mère Jeanne de l’Enfant Jésus MIREILLE CAPELLE
Sœur Mathilde ANGÉLIQUE NOLDUS
Premier commissaire YVES SAELENS
Second commissaire ARNAUD RICHARD
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 フランスを代表する女性歌手がこれだけ勢ぞろいするのはこの作品以外ないかもしれません。この作品はマインツで鑑賞して以来ですが、その時は到着日で睡魔と戦わざるを得ず、また機会があったらと思っていたので、これだけ豪華なキャストの公演を見逃すわけにはいきません。何よりフランス人によるフランス作品の上演なのですから期待も高いのは当然。これが非常に完成度の高い公演で期待以上、満足感も高いものでした。

 モノトーンの色彩の舞台は重苦しい雰囲気に満ちながらも、横にスライドする床と縦横にスライドする壁がどの場面も絵になる美しいシーンを創りだし、適材適所の歌手とアルティノグル率いるオケの演奏は時代に翻弄されながらも信仰を貫いた人々の悲劇を紡ぎだしていました。

 最も印象に残ったのはブランシュとコンスタンス。プティボンは今までルルやアルチーナで聴いたので魔性の女といったイメージが強かったのですが、今回は純粋で繊細な貴族の娘であり、ベテランのピオーは屈託のない素朴な少女のようで、鑑賞しながらも残酷な結末が受け入れ難くなってしまったのでした。

 マインツでは鋭く響くギロチン音に恐怖を募らせたのですが、今回は鈍く生々しく響く音が辛すぎたのでした。

 

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ダフネ・・WIENER STAATSOPER・・2017/12/7 [オペラ]

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DIRIGENTIN Simone Young
REGIE Nicolas Joel

Peneios Dan Paul Dumitrescu
Gaea Janina Baechle
Daphne Regine Hangler
Leukippos Benjamin Bruns
Apollo Andreas Schager
1. Schäfer Gabriel Bermúdez
2. Schäfer Wolfram Igor Derntl
3. Schäfer Jens Musger
4. Schäfer Hans Peter Kammerer
1. Magd Ileana Tonca
2. Magd Margaret Plummer
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 ダフネ欠乏症になっていたのはかなり前から認識していたので、この公演は見逃せませんでした。
 
 神秘的な美しさと深い叙情性に満ちた作品というと、この『ダフネ』は格別であります。
 歌劇の中で何が一番好きかと問われれば、今のところ間違いなく『ダフネ』と答えるでしょう。この作品を聴いてしまうと同じ作曲家のバラやアラベラなどのオチャラケ作品は聴くに値しない駄作、況や薄っぺらなイタリアオペラをや、とまで言ってしまうと暴言ではありますが、本当にそう思っているので正直に書いておくことにします。

 今回の『ダフネ』は爆演大声大会風。キャストにワーグナーも歌える人達が揃ったからこそ可能だった爆演です。今まで聴いたタイトルロールはベングッソンとイソコスキでしたが、この二人だったらここまで鳴らすことはできないというくらい鳴らしていて、ダフネとアポロの出会いなどはブリュンヒルデとジークフリートの出会いかと思えたほど。鳴らしていた分、前半は叙情性といった面では若干希薄にも思えたのですが、神秘的な力を宿すようなオーケストレーションの中に身をおける素晴らしさは極上でした。ロイキッポを失った後のダフネの悲しみには涙せずにはいられない切なさがあるのもこの作品に魅了されるところですが、そこは叙情性に満ちた演奏でダフネ役のハングラーもしっとりと美しく歌い上げていたのが胸に浸みました。
 
 演出については今時ダフネが月桂樹になる演出があるとしたらここウィーンだろうと思っていたら、その通りで想定内。それでもアポロの回想という設定が叙情性を深める余韻を残し、悪くない演出でした。
 

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ルル・・WIENER STAATSOPER・・・2017/12/6 [オペラ]

パリからウィーンへ移動して2泊。お目当ての『ダフネ』の前にこの公演を鑑賞しました。
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DIRIGENT Ingo Metzmacher
REGIE Willy Decker

Lulu Agneta Eichenholz
Gräfin Geschwitz Angela Denoke
Dr. Schön/Jack the Ripper Bo Skovhus
Alwa, sein Sohn Herbert Lippert
Schigolch, ein Greis Franz Grundheber
Theatergarderobiere/Mutter Donna Ellen
Gymnasiast/Groom Ilseyar Khayrullova
Medizinalrat Konrad Huber
Maler/Neger Jörg Schneider
Tierbändiger/Athlet Wolfgang Bankl
Prinz/Kammerdiener/Marquis Carlos Osuna
Theaterdirektor/Bankier Alexandru Moisiuc
Polizeikommissär Konrad Huber
Fünfzehnjährige Maria Nazarova
Kunstgewerblerin Bongiwe Nakani
Journalist Manuel Walser
Diener Ayk Martirossian

 キャスト表を見て、これは脇が盤石といった印象の公演になりそうと思っていたところ、その通りでありました。
 タイトルロールの人も決して悪くなく、スタイルの良い美人て魅力がないわけではなかったのですが、デノケが歌うやいなや全て持っていかれたという印象になってしまったのは致し方なしか?
 
 演出のセットは舞台中央に部屋があり、その部屋を見下ろす形で舞台奥に観客席のように半円状の階段が設けられてました。サイドの席から鑑賞しているとセットの客席の延長に自分が座っている気がしてきて、舞台中央で繰り広げられる惨劇を見ながら連想したのはコロッセオ。惨劇を鑑賞するのは古代から続く人間の性なのかと考えながら、実際の殺戮ではなく劇として鑑賞するのだから人間も進歩しているとも思ったり、それでも音楽がなければこういった暗くて救いようもない話を鑑賞する気になれるだろうかと自問したり・・・でした。

 尚、さすが世界のウィーン国立歌劇場、日本語対応の字幕新システム (人''▽`)ありがとうごさいます☆
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皇帝ティートの慈悲・・Palais Garnier・・2017/12/5 [オペラ]

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Direction musicale Dan Ettinger
Mise en scène Willy Decker

Tito Vespasiano Michael Spyres
Vitellia Aleksandra KurzakAmanda Majeski
Sesto Marianne CrebassaStéphanie d'Oustrac
Annio Angela Brower
Servilia Valentina Naforniţa
Publio Marko Mimica

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 ティトと言えばザルツブルクで観た斬新な公演が記憶に新しいですが、そのせいもあってか今回はオーソドックスという印象になった公演でした。演奏はほぼ譜面どおり、歌手はそれぞれのキャラが際立ち、モーツァルトの作品の良さを充分に味わったというところ。
 モーツァルトに限ったことではなく、譜面どおりで登場人物のキャラが際立っていれば満足感が高いのは当前といえば当前なのかもしれません。現代的解釈を交え色々変化を加えた公演も思いがけない発見があるのでもちろん肯定派ですが、今回のようなオーソドックスな公演も肯定派です。

 それに音楽的にはオーソドックスでも演出は現代的な感覚が盛り込まれ、衣装はクラシックでもセットは抽象的なものでした。秀逸だったのは登場人物の動きと演技でそれぞれの内面を浮き彫りにしていた点で、一つだけ例を挙げると、最後、王冠を頭からはずしてそっと下に置くティトには王としてではなく人間として寛容であれという姿勢が窺えて印象的な幕切れでした。
 
 
 キャストはオリジナルから二人変更になってしまいましたが、元々ダブルキャストだったこともあって全く問題なし。
 キャスト表を見て鑑賞する前からこれは質の高い公演になりそうという予感があったのは脇役にバイエルンのアンサンブルであるブラウアーとウィーンのアンサンブルであるナフォルニツァがいることで、実際にモーツァルトは脇役を含めて全員が充実していると満足度が高いということを再認識した公演でした。(二人共既にアンサンブルを離れて独立したかも?)
 主役級の三人はいずれも初めて聴く人達でしたが、それぞれ役のイメージに合っていて、スパイヤースはいかにも穏やかそうな外見が懐が深い雰囲気で声も優しそう。ドゥストラックはズボン役が似合う暗めの声で悩めるセストにピッタリ。マジェスキは嫉妬深く気が強そうでありながら憎めないキャラを好演してました。

 ということで、歌手の人達が演出にそって好演していたからこそ登場人物の個性が際立ったということではありますが、公演の要であるエッティンガー率いるオケの若干重めの演奏も歌手の好演を引き出すのに成功していたとも言えるでしょう。ところで、エッティンガーの指揮する姿が師匠にそっくりというのを聞いたことがありますが、今回良く見える席だったので、なるほど納得でありました。

 
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グリゴリー ソコロフ・・Théâtre des Champs Elysées・・2017/12/4 [コンサート・リサイタル]

Haydn Sonata (divertimento) No. 32 op.53 No. 4 Hob. XVI:44
Sonata (divertimento) No. 47 op.14 No. 6 Hob. XVI:32
Sonata No. 49 op.30 No. 2 Hob. XVI:36
Beethoven Sonata No. 27 op. 90
Sonata No. 32 op. 111
以上のプログラムの他、アンコール6曲

この公演が滞在中にあったことは幸運以外のなにものでもありません。
極上の時間を過ごしました。
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